世界を走り倒す旅行記 1

自転車による五大陸走破ラウンド1

コスタリカの出来事 : つかまる 前編

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ニカラグアからコスタリカにかけての9日間、ジュン君という自転車旅行者とともに旅をした。
ジュン君も南北アメリカ大陸を縦断中なのだが、おそろしくペースが遅い。僕より1年も前にアラスカを出発したのに、僕に追いつかれてしまったのだから。でもその分、ディープな旅をしているようだ。彼の旅の体験談は非常に面白かったが、ここでそれを紹介するのは割愛させてもらう。なんらかの形で公表すればいいのにと思うのだが、本人はそういう気はないらしい。
彼は、物価の安い中米でも野宿をし、水道水を飲み、自炊をし、鍋はまったく洗わず、シャワーも洗濯も限界までせず、日焼け止めも塗らず、虫除けスプレーも使わず、そして視力は2.0という、自転車旅行をするために生まれてきたような男だ。
そんなツワモノと出会えて僕はうれしかったが、なんせスローなやつで、合わせるのに苦労した。走行のスピードだけでなく、普段の生活サイクルも僕とだいぶ違った。彼も僕に合わせようとしていたが、それでも差は開いていった。
 
ある日、僕たちは街を出発してからひたすら山を登り、標高900mほどまで上がってから道を間違えたことに気づく、というマヌケなミスを犯した。いや、僕たち、といったが、先頭を走っていた僕のミス、というべきか。登ってきた道を下り、出発地点の街に戻ってきた頃にはもう昼になっていた。今日はもう、20kmほど先の隣街まで行ったらストップするか。
 
隣街に着き、ホテルに自転車と荷物を置いて、二人で歩いて買い物に出かけた。
その帰り道、突然警官につかまった。
「パスポートを出せ。」
いきなり犯罪者を扱うような高圧的な態度に、僕もジュン君もムッときた。が、逆らうわけにもいかない。
ジュン君は、グアテマラの語学学校に4ヶ月間通っていたこともあり、スペイン語が達者だった。こういう時は、僕は一歩引いて彼に対応を任せることにしていた。
その警官は、道路の向こう側にいた別の警官に口笛を吹き、
 「チノ(中国人)を2人捕獲した!」
 みたいなことを言った。
すると、ジュン君がキレた。
 
「チノだと!?おまえ、字が読めねえのか!?パスポートにJAPANって書いてあるだろ!」
 
警官は侮辱されたと感じたのか、逆上してなにやらわめいたが、早口だったので何と言ったかわからなかった。
 
「おまえら、署まで来い。」
 
はあ?なんで?何もしてないのに。
中米では職務質問はしょっちゅうあるので慣れていたが、署まで連行されるなんて初めてだ。僕たちはパトカーに乗せられた。
一部始終を、地元の野次馬どもにジッと見られていた。彼らの目には、僕たちは中国人マフィアにでも見えていたのだろう。
 
つづく
 
 
ジュン君
Jun
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

Written by Ryo

2008年3月10日 @ 3:25 午後

カテゴリー: 出来事

1件のフィードバック

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    2014年9月29日 at 12:08 午前


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