世界を走り倒す旅行記 1

自転車による五大陸走破ラウンド1

ニカラグアの出来事 : カメラ盗難 後編

with 2 comments

警察署はスーパーのすぐ近くにあった。
結構大きな署だったので、英語を話せる人ぐらいいるだろうと思い、受付で聞いてみた。が、
「ノー!スペイン語だけだ!」
・・・そうですか。それにしても、こっちの人たちは、もうちょっとソフトな言い方できないもんかね。
スペイン語でも説明できないわけじゃないが、僕のスペイン語はかなりインチキくさい。
すると、ひとりの男性が話しかけてきた。
"Can I help you?"
おお、英語だ。その人の流暢な英語、話し方、表情、身なりからいって、ちゃんとした人だと直感した。
 
取調室みたいな部屋に連れて行かれ、詳しい事情を聞かれた。
思ってた以上に細かく聞かれた。うかつにも、僕はスーパーの名前を覚えていなかった。正確な時刻も覚えていなかった。荷物預かり所の店員の顔の特徴や、カメラの品番などは、なんとか思い出して答えた。僕はほとんど何の考えもなしに警察に駆け込んでしまったが、こういう時は、詳細をメモしてから行くべきだな。
聴取にはかなりの時間がかかった。その間、ずっとその紳士がつきっきりで通訳をしてくれた。彼はエルサルバドル人で、たまたま仕事の都合でニカラグアに来ていたらしい。
 
ちょっと偉そうな人が出てきた。どういうポストにいる人なのかはわからないが、なんとなく偉そうな人だ。その人がエルサルバドル人に話をし、彼がその内容を僕に伝えてくれた。
「明日の朝9時に、またここに来なさい。あなたと、スーパーの経営者と、警察の三者で話し合いをする。」
救う神ありとはこのことだ。僕はエルサルバドル人に丁重にお礼を言って別れた。困った時にこういう人に出会えると、本当にありがたい。
 
署を出ると、すっかり暗くなっていた。ひとりの警官がヘタクソな英語で話しかけてきた。
「ヘイ、チャイニーズ、アイキャンヘルプユー、ソー、ギブミーモニー。」
ほんとに腐った国だな。
しかもチャイニーズじゃねえって。
 
ホテルまでパトカーが送ってくれることになった。そんな必要はないと思ったが、マナグアの夜は危険だからと、強く勧められた。
自転車を荷台に積み、後部座席に座った。隣には、さっきの警官が乗ってきた。
「ギブミーモニー。ギブミーモニー。」
うるっさいな。
「あんた、警察官だろ?なんで警官が旅行者に金を要求するんだ?カメラを取り返してくれたら、払ってやってもいいけど。」
黙った。
 
途中でレストランに寄ってもらった。主人は僕が注文した料理をお持ち帰り用に包装してくれていた。僕が謝ると、「気にしなくていいよ。それより、カメラはあったかい?」と心配そうに聞いてくれた。こういう優しい人も、いることはいるのだ。
 
翌朝、再び署に行った。
1時間ぐらい待たされた後、昨日の偉そうな人が現れた。彼は1枚の紙を僕に渡した。被害届の控えだった。
「もう、行ってもいいよ。」
・・・え?経営者を交えての話し合いは?
絶句した。
いや、もういい。何も言う気になれなかった。こんなにも信用できない人ばかりじゃ、何を話したって無駄だ。もうカメラが戻ってくることはない。僕は被害届を破り捨てた。
 
帰国後、すべての写真を現像したが、アラスカからニカラグアまでの写真は、このブログにアップしたものを元に現像するしかなかった。他の写真に比べると画質が悪く、日付の情報も失われている。悔しい。次の旅では二重三重のバックアップをするつもりだ。
 
 

Written by Ryo

2008年3月9日 @ 8:34 午後

カテゴリー: 出来事

2件のフィードバック

Subscribe to comments with RSS.

  1. ニカラグア・・・日本とは全く違いますね。
    警察官がそんなてきとうなこと言うなんてびっくりです :O
    日本って親切な方なんですね。。。
     

    Chihiro

    2008年3月9日 at 9:06 午後

  2. 「治安が悪い」というのは、こういうことまで含まれるのだと学びました。
    語学力の必要性も、こういう時に痛切に感じます。
    オーストラリアでも油断しないように。

    Ryo

    2008年3月9日 at 9:23 午後


コメントを残す