カナダの出来事 : 仙人
ブリティッシュコロンビア州のとある山道にて。
毎日毎日、雨。短い雨が降ったり止んだり、降ったり止んだり。カッパを着たり脱いだり、着たり脱いだり。
いいかげんうんざりする。
突然、強い雨が降りだした。あまりにも突然だったのでカッパを着る余裕もなかった。これはたまらん、と僕はおもわず森の中へ逃げ込んだ。
ちょうど僕が駆け込んだ所に、ひとりのジイさんが椅子に座っていた。
まったく想定していなかった突然の出現に驚き、おもわず「うぉっ!」と声を上げてしまった。なんだこの人?
白人ではない。今までにも何度か見た、先住民のようだ。肌は浅黒く、顔には深いしわが刻まれている。
彼にしてみれば、突然現れたのはむしろ僕の方なのだが、驚く様子も見せず、にこやかに迎えてくれた。
僕は一応、 「急に降り出したもんだから、雨宿りしに来たんです。」と説明しておいた。
老人はしゃべり始めた。まったく聴き取れない。先住民の言葉か。わかるはずもない。カナダやアラスカの先住民といったらエスキモーが有名だが、エスキモーは沿岸部でアザラシやクジラを捕まえて食べる人たちだ。山間部の先住民は何だろう?アメリカのインディオに近いのかな?いずれにしても、こんな仙人みたいな人に出会えるなんて、貴重だ。なにかすごいことが学べたりするかもしれない。僕は好奇心を抑えきれず、英語でいくつか質問してみた。
「この森の中に住んでるんですか?」
「家族はいるんですか?」
「いつも何を食べてるんですか?」
老人はこれらの質問をにこやかに無視してしゃべり続けた。
しばらくして、英語らしき単語が耳に入って来た。
「・・・マイサン・・・シティ・・・クリスマス・・・」
英語をしゃべっているのか?僕は再び質問してみたが、やはりきれいに無視された。
「ガイスト」という言葉が頻繁に聞こえた。僕の知る限り、「ガイスト」は「精神」を意味するドイツ語で、英語圏では使われないはず。ますますわからん。
だんだん苦痛になってきた。この老人は人間ではなく、自動的にしゃべり続けるロボットではないかと考えたりもした。まだ雨は上がっていないが、だいぶ弱まってきたので出発することにした。ジェスチャーでそれを示すと、彼は信じられない言葉を言った。
「アイラブユー。」
やっぱ英語じゃん!そしてもうここにはいたくない。さらにしゃべり続ける老人を振り切って僕は出発した。50m進んでも、100m進んでも、彼の声は消えなかった。
あいつは一体何者だったのか、いまだにわからない。
まじうける XD
いったいなんなんでしょうねw
アイラブユーって!!XD
悪い人じゃないけどず~っと知らないことばでしゃべり続けられたらね・・・(-_-;)
でも貴重な体験だったと思いますよw
Chihiro
2008年2月6日 at 7:31 午後
ホームレスか、それともただの寂しがり屋だったのか。
日本一周した時も、この手のおっさんにつかまって困ったことがありました。
Ryo
2008年2月6日 at 9:42 午後